人形峠が問いかけるもの~原子力開発の入口で起きていること

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 人形峠が問いかけるもの
 ~ 原子力開発の入口で起きていること ~
                

日時=2013年11月12日(火)
場所=岡山市の臨済宗妙心寺派蔭凉寺
講演=「岡山の放射能汚染 ~人形峠のウラン残土問題~」
主催=脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山

  

 

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 去る11月12日(火)、わたしは脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山に招かれ、岡山市の臨済宗妙心寺派蔭凉寺で、「岡山の放射能汚染 ~ 人形峠のウラン残土問題 ~ 」というタイトルで講演しました。
 人形峠のウラン残土は、人形峠をはさんで岡山・鳥取両県にまたがっていて、鳥取県側の東郷町(現・湯梨浜町)方面(かたも)地区のウラン残土撤去運動の一環として、わたしたちと京大原子炉実験所の小出裕章さんとの共同調査による方面(かたも)地区のデータを使いながら、「人形峠が問いかけるもの ~ 原子力開発の入口で起きていること ~ 」をテーマに、いわば総まとめ的な報告をしたつもりです。
 脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山は、財団法人・日本仏教会が2011年12月1日に発表した宣言文「原子力発電にたよらない生き方を求めて」を受けて、ことし2013年2月、岡山県内の真言宗御室派長泉寺の宮本龍門師や臨済宗妙心寺派蔭凉寺の篠原真祐師ら、宗派を超えた呼びかけ人によって結成されました。
 わたしは鳥取市の浄土宗の檀信徒の家で生まれ育ち現在に至っていますが、脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山の中心メンバーの、真言宗一心念誦堂の佐伯隆快師から招待状とともに送ってもらった資料に目を通すまでは、日本仏教会が脱原発の宣言文を発していることを知りませんでした。
 脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山は、その呼びかけ文のなかでこう訴えています。「釈尊は「一切衆生は幸せであれ」と誓願を立てられました。自然を破壊し、たくさんの命を奪い、人々のつながりを分断する原子力発電は、仏の教えに反します」と。わたしもネットワークのキャッチフレーズ、「原発は仏教に反す」に深く共鳴するものです。
 わたしは岡山で、第一部「原子力開発は入口から出口まで放射能のタレ流し ~ 膨大なウラン残土とウラン鉱害の子々孫々へのツケ ~ 」、および、第二部「原子力開発は核のゴミ戦争を避けられない ~ 2転3転…7転び8起きのウラン残土撤去の顛末 ~ 」、の二部構成で講演を行ないました。
 この講演のあと、脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山の人たちは、蔭凉寺前に結集して岡山駅までデモ行進し、わたしもこの異色のデモに参加する光栄に浴しましたが、まことに得難い体験です。先導の佐伯隆快師が法螺貝を吹き、「原発を止めよう!いのちを守ろう!」と唱えるのに、わたしたちもこれに唱和して歩道の人たちに訴えました。

 

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 岡山駅前に到着した脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山の高僧たちは、駅前を通行する市民に手分けして「原発は仏教に反す」のリーフレットを配りながら、脱原発を繰り返し訴えかけました。わたしもフクシマと人形峠の現実を踏まえて、アピールを付け加えました。

 本来なら法令で立ち入り禁止にすべき原発から250キロ圏内の高濃度汚染地帯に200万人の住民が住み、フクシマの地元では16万人の原発難民 がふるさとに帰れない現状に加えて、いま問題の放射能汚染水のダダ漏れの惨憺たる状況にわたしは注意を喚起しました。
 そこへ通りかかった女性から、「わたしもフクシマから避難してきています。頑張って下さい」と声をかけられました。岡山県には1000人の避難 者が来ているとのことですが、あらためてフクシマを身近に感じさせられる瞬間でした。
 わたしは今回の講演を通して、脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山の人たちの、現代の問題に全身で向き合う真摯な姿勢に接し、宗教と宗教者の社会的役割と現代的意義をあらためて実感しました。本来なら、いつの世でも、宗教と宗教者はこうあらねばならないでしょうが、わたしの身辺の宗教的な経験には昨今なかったことです。
 思い起こせば、わたしも人形峠のウラン残土問題に取り組み始めた当初、島根県の大本教の人たちに招かれて、発覚したばかりのウラン残土問題について講演した記憶があります。大本教は戦前・戦中の国家の激しい弾圧に抗して抵抗した宗教団体ですが、ここにも現代に生きる宗教と宗教者たちの真摯な姿がありました。
 11月12日の岡山講演は第一部と第二部に分けて、ユーチューブで公開しました。ユーチューブのアドレスは以下の通りです。

第一部
http://youtu.be/krz5HdRpm_0
第二部
http://youtu.be/j29U3GHK3lk

(注)本稿はウラン残土市民会議の以下のホームページにも同時掲載しています。
http://uranzando.jpn.org/uranzando/