映画『イエロー・ケーキ』上映挨拶

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映画『イエロー・ケーキ』上映挨拶

鳥取上映の実行委員会を代表して

 

      =2012年8月5日、鳥取市のふれあい会館にて=

 

 きょうは炎天下の猛暑にもかかわりませず、映画『イエロー・ケーキ』の上映にたくさんお集まり下さいまして、まことに有難うございます。
 イエロー・ケーキというのは、天燃のウラン鉱石を製錬して得られる、原発の燃料の黄色い粉末です。
 わたしは上映実行委員会の参加団体の1つであるウラン残土市民会議、そして、その前身の市民グループの一員として、人形峠のウラン鉱山の問題に20年以上取り組んできました。
 なかでも、旧東郷町(現在の湯梨浜町)の方面(かたも)地区のウラン残土撤去運動を支援してまいりました。
 方面地区はウラン残土撤去運動に18年もの歳月を費やし、榎本益美さんのがんばりと片山善博知事の支援による訴訟に勝利して、ついにウラン残土の撤去を実現しました。
 方面地区には1万6000立方メートルのウラン残土があり、そのうち放射線レベルの高い290立方メートルはアメリカのユタ州の先住民の土地に持って行きました。鉱害輸出です。
 残る2700立方メートルは人形峠県境の鳥取県有地でガラス固化し、3・11から半年後の昨年6月に搬出を終わりました。
 しかし、人形峠周辺には、方面地区から撤去された3000立方メートルの150倍に当たる、45万立方メートルのウラン残土の大半がいまも野ざらしで放置されています。
 したがって、人形峠のウラン残土問題は、方面地区の一部撤去で解決したわけでは、決してありません。
 きょうの映画に出てくる世界のウラン鉱山には、人形峠の何千倍何万倍のウラン残土が投げ捨てられているのです。
 人形峠の意味するものは、原発は入口のウラン採掘の段階でウラン残土という始末におえない核廃棄物を出し、原発が入口から出口まで放射能のタレ流しで成り立っているということです。
 人形峠のウラン鉱石は質量とも使いものにならず、現在、日本は原発の燃料のウランをすべて外国からの輸入でまかなっています。
 映画『イエロー・ケーキ』は、旧東ドイツのウラン鉱山を皮切りに、日本がウランを輸入しているナミビア、オーストラリア、カナダのウラン鉱山を取り上げています。
 わたしたちと一緒に人形峠のウラン鉱害に取り組んだ小出裕章さんは、ウラン採掘に当たった原子燃料公社のデータをもとに、人形峠でウラン採掘に当たった延べ1000人の労働者のうち、肺ガン死者は70人と推計されています。
 旧東ドイツのウラン鉱山の肺ガン死者は、7000人以上に及ぶとのナレーションが出てきて、わたしは改めて驚かされました。これは人形峠の肺ガン死者の100倍以上です。
 そればかりか、ドイツのウラン鉱山跡地には、かつての三池炭鉱にあったような手のつけようのない巨大なボタ山が ― むろん、それはウラン残土のボタ山ですが ― 1000個以上もある、とのナレーションにわたしはビックリ仰天の思いでした。
 ご存知にように、ドイツのメルケル政権はフクシマの大惨事の直後、世界でいち早く脱原発のカジを切りましたが、そのメルケル首相も今日の映画の監督ユアヒム・チルナーさんも、この映画に出てくるウラン鉱山があった旧東ドイツの出身です。
 ウラン鉱山に残された核廃棄物としては、ウラン残土のほかにも、より厄介なウラン鉱石の製錬による選鉱クズのウラン鉱滓があります。
 ウラン鉱石は化学薬品で製錬してウランを溶かし出すので、そのクズのウラン鉱滓も液体状です。したがって、ダムか池のように囲い込んで、溜めておくしかないわけですが、大雨などでオーバーフローします。
 この映画は、ドイツだけでなく、ナミビア、オーストラリア、カナダのウラン鉱山跡地に、生物の住めない死に絶えたウラン鉱滓の巨大な池や湖が、荒涼というか茫漠と連なり広がっている、不気味な〝死の湖〟をあぶり出しています。
 要するに、これはこの世の果てと思われる〝核のゴミ〟ならぬ〝核の毒〟―つまり、手のつけようもない核廃棄物の捨て場なのです。
 いったい、この茫漠と連なる不気味な〝死の湖〟は、誰がどう始末するのでしょうか。誰も ― ウラン採掘企業も、それぞれの国家も、そのあと始末をするつもりはありません。
 つまり、放ったらかしの、〝あとは野となれ山となれ〟です。
 しかも、ナミビアにせよ、オーストラリアにせよ、カナダにせよ、ウラン鉱山や跡地は先住民が生活している場所です。
 とくに、オーストラリアでは、先住民たちが自分たちの生存と環境の深刻な危機に直面して、世界トップ級のウラン採掘企業と必死で闘っています。
 『イエロー・ケーキ』の上映に当たりましたて、この映画で描かれている世界のウラン鉱山の〝ボタ山〟と〝死の湖〟と〝先住民の闘い〟こそ、フクシマの大惨事の裏側に隠された、つまりウランを輸入している日本の原発の真実を明るみに出すものだ、ということを指摘しておきたく思います。
 前置きが長くなりましたが、さっそく上映に移ります。

 

(追加 )映画『イエロー・ケーキ』のDⅤDが発売されました。配給元と販売元 のホームページは以下です。

     配給元:パンドラ http://www.pan-dora.co.jp

     販売元:マクザム http://www.maxam.jp