高レベル放射性廃棄物の最終処分場はどこへ行く?

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高レベル放射性廃棄物の最終処分場はどこへ行く?
 NUⅯОの「科学的有望地」発表を前に、鳥取市で学習会
 人形峠なら搬入路は青谷か泊からトンネルで!

 

 NUⅯО(原子力発電環境整備機構)は高レベル放射性廃棄物の「科学的有望地」を今年度末に提示するとしていますが、これを前にえねみら・とっとり(エネルギ―の未来を考える会)は1月4日、鳥取市文化センターで学習会「原発のゴミはどこへ行く?」を開き、三十数人の市民が参加しました。
 最初に、原子力資料情報室の共同代表・伴英幸さんが「原発を終えるために。~最新情報と最終処分、廃炉に向けた論点」と題して講演。日本の原子力開発をめぐる全体状況、政策変更の動向、高レベル廃棄物の論点について報告しました。
 とくに、8年で5700億円以上の無駄な経費を食い、見通しの立たない日本原子力研究開発機構のもんじゅの廃炉の要因と廃炉が日本の原子力政策に決定的な影響を与えていることをくわしく解明され、建設費が2兆円以上に膨らんだ六ヶ所村の再処理工場も1昨年5月に再処理実施法が制定されて、認可法人・再処理機構を設立したものの、48トンのプルトニウム、ガラス固化体とTRU廃棄物を残して、〝貯金くいつぶし路線〟の事実上の〝死に体〟、電力会社の始末に負えないお荷物になっています。
 ガラス固化体はまだ運転していない六ヶ所村の再処理工場でつくられたものではなく、イギリスとフランスの再処理工場で再処理してもらったものの返還廃棄物です。
 しかし、高レベル廃棄物のガラス固化体とTRU廃棄物の行き場がありません。NUⅯОは2002年、公募を始めましたが、高知県東洋町以外に手を挙げた所はなく、その東洋町も2007年に町長リコールで応募を取り下げました。応募報道は全国14カ所に及びましたが、公募制は失敗しました。この反省から1昨年5月、NUⅯОが「科学的有望地」を提示、国による申入れなどをうたって基本方針を改定しました。今年度末までに「より適正が高い地域」(科学的有望地)「適性がある地域」「適性がない地域」の3グループを日本地図に色分けして示すそうです。
 陸揚げしたガラス固化体の搬入を考えると、「港湾からの距離が近い」」(20キロが目安)は「適性がある地域」に含まれます。他方、火山から15キロ以内と活断層の近く、大きな隆起や侵蝕が見られる場所、軟弱な地盤は「回避すべき」場所とされています。

 伴さんの講演のあと、地元の話題提供者として、わたし(土井)と岡山県の県条例を求める会の西江清吾さんが、それぞれ人形峠が「科学的有望地」の一つとされ、その場合、高レベル廃棄物は青谷など日本海側からトンネルで人形峠まで運び込まれる、との見方を示しました。
 これはたんなる推測ではなく、一定の根拠に基づいた見方です。わたしは元動燃主任研究員の土井和巳さん(地球科学)の『放射性廃棄物』(1993年、日刊工業新聞社)の97ページの図18「わが国での高レベル放射性廃棄物深層隔離に想定されうる概念の一例」をその重要な根拠に挙げました。

 

(図18「わが国での高レベル放射性廃棄物深層隔離に想定されうる概念の一例」)

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 この図は「筆者の想定」としながら、まるで人形峠から青谷付近の山陰海岸の地形・地層をそのまま示しているかのようで、1980年代から90年代にかけて人形峠が高レベル廃棄物の地層処分の有力候補地と見ていた岡山県の住民活動家や鳥取県の住民活動家は、この図を一種の警戒警報と受け取ったものです。
 土井さんは地球科学者として1994年5月、『原子力工業』という雑誌に「高レベル放射性廃棄物の「処分」は可能か/地球科学の課題と現状」という論文を発表、当時共同通信記者だったわたしはそれを見て、東京まで土井さんの取材に出向き、「高レベル廃棄物の地層処分/安全確保に100年以上/元動燃の地球科学者が提言」という記事を全国に配信しました。お手元に記事コピーをお配りした日本海新聞だけでなく、東奥日報とかデイリー東北なども自社ダネを加えて掲載しました。要するに、土井さんは地下水の動向の未解明など地球科学の現状からして、高レベル廃棄物の地層処分は時期尚早というお考えでした。
 さきに示唆したように、NUⅯОは陸上げしたガラス固化体の搬入を考え、「科学的有望地」の条件として「港湾からの距離が近い」を上げ、その目安を20キロとしていますが、この20キロは青谷または泊から人形峠までの距離です。わたしはNUⅯОの基準20キロの根拠をこの土井さんの著書の絵に照らして考えたくなります。当時、わたしたちはこの絵は青谷・泊―人形峠の地形・地質を想定したものと受け止めていたのです。
 岡山の西江清吾さんは少なからぬ仲間とともに、岡山県の140万有権者のうち34万人の
 署名を集めるとともに、県下の全自治体の高レベル廃棄物受け入れ拒否の運動を徹底して行ってこられました。と同時に、やはり山陰海岸から20キロのラインに注目、さらに、岡山県北部・鳥取県東部で旧動燃が設定していた鉱業権を調べ上げて、地図を作製されました。


(岡山県北部・鳥取県東部で旧動燃が設定していた鉱業権地図)

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 これは驚くべき地図です。なぜなら、青谷または泊から人形峠までの20キロの高レベル廃棄物の搬入路を想定すると、旧動燃の鉱業権はその搬入路の地域全体をほぼカバーしているのです。つまり、動燃の手でボーリング等の地質調査がひそかに先行して行われていた可能性もあり得ます。
 いずれにせよ、今年度末つまり3月末と言われるNUⅯОの「科学的有望地」や「適地」の提示を大いなる危惧の念をもって注視しましょう。かりにも人形峠に「科学的有望地」、鳥取県側の搬入路相当の部分に「適地」の色がつかねばと願いますが、どんな色をNUⅯОが勝手につけようと、わたしたちはそれを断固として拒否するものです。
 ウラン残土撤去運動を地域住民とともに身をもって闘ったわたしたちは、それよりもはるかに危険で厄介な高レベル廃棄物の搬入を絶対に許さないでしょう。それが子々孫々にわたってわたしたちの地域全体に壊滅的な影響を及ぼすだろうことは否定できないからです。

                                                                                               (2017年2月12日記)