新刊案内

HOME

小出裕章・土井淑平 共著 

『原発のないふるさとを』

 

  ◇2012年2月25日発売
  ◇発行=批評社
  ◇186ページ、定価1600円+税

 

◇以下のアドレスをクリックすればネット購入が出来ます。

 ・丸善&ジュンク堂書店  http://www.junkudo.co.jp/view2.jsp?VIEW=author&ARGS=%93y%88%E4%81%40%8Fi%95%BD

 ・紀伊国屋書店  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/search.cgi?skey=1&AUTHOR=%93y%88%E4%8Fi%95%BD

 ・アマゾン  http://www.amazon.co.jp/gp/aw/s?ie=UTF8&field-author=%E5%9C%9F%E4%BA%95%20%E6%B7%91%E5%B9%B3&i=stripbooks

 ・楽天ブックス  http://search.books.rakuten.co.jp/bksearch/dt/g001/bathr%C5%DA%B0%E6%BD%CA%CA%BF/

 ・ライブドア  http://books.livedoor.com/bs/?type=author&word=%E5%9C%9F%E4%BA%95%E6%B7%91%E5%B9%B3

 上記のほかのネット通販でも購入できます。

 

 

 

i

 

 

 

 目次

 

 フクシマで何が起きたのか
  ― 福島第一原発事故を考える               (小出裕章)
  序 「原発のないふるさとを」
  1 チェルノブイリで起きたこと
  2 フクシマで起きたこと(1)
  3 フクシマで起きたこと(2)
  4 原子力のない世界へ

 

 フクシマから原発のないふるさとへ
  ― 青谷原発立地阻止運動に学ぶ             (土井淑平)
  序 福島原発事故と青谷原発計画
  1 青谷原発立地計画の浮上
  2 青谷原発立地阻止運動を始めるに当たって
  3 青谷原発立地阻止運動の経過と構造
  4 立地阻止の決め手としての土地の取得と共有化

  結び あらためて福島原発事故を考える
 

 原発のないふるさとの核廃棄物
  ― 人形峠のウラン残土撤去運動の報告         (土井淑平)
  序 人形峠におけるウラン残土の放置発覚
  1 人形峠周辺のウラン残土による放射能汚染
  2 人形峠周辺のラドン汚染とラドン被ばく
  3 方面地区のウラン残土撤去協定書の締結と先送り
  4 鳥取県当局による方面現地据え置きの攻撃と弾圧
  5 榎本益美さんの実力行使からウラン残土撤去訴訟へ
  6 ウラン残土のレンガ加工による決着と痛恨の鉱害輸出
  7 人形峠のウラン残土からフクシマを見ると

  資料1 方面地区のウラン残土年表(訴訟まで)
  資料2 方面地区のウラン残土年表(訴訟以後)

 

 

著者の言葉


 昨年3月11日の東日本大震災をきっかけとする福島第一原発事故以後、本書の共著者の小出裕章が分単位の過酷なスケジュールにもかかわらず、北は北海道から南は沖縄まで全国各地の住民の求めに応じて、文字通り寸暇の合間を縫って講演に出かけていることは、周知の通りです。
 そこには、原発を推進してきた圧倒的な御用学者たちの積年の洪水のようなデマゴギーに抗して、科学者の良心と責務から住民たちに真実を伝えないといけない、という切実な自覚と使命感があることはいうまでもありません。
 本書の巻頭を飾る小出裕章の「フクシマで何が起きたのか ― 福島第一原発事故を考える」は、昨年末に鳥取県米子市で行なった講演に手を加えた最新のレポートで、まずチェルノブイリで起きたことを分かりやすく解き明かし、そのチェルノブイリにも匹敵する放射能をばらまいてしまったフクシマの事故について詳細に考察したものです。
 たとえば、フクシマの事故で放出された放射能は広島型原爆の数百発分で、日本国の法律をきちんと守るなら、東北から関東の一円にかけての広大な地域を放射線の管理区域にしなければならない、つまり本来なら無人地帯にしなければならないようなひどい汚染であるにもかかわらず、このおぞましい現実を政府は国民に伝えていません。
 わたしたちは本書で、京大原子炉実験所につとめている小出裕章から、「関係者以外立ち入りを禁ずる」と書かれた放射線管理区域の実態を知らされ、その放射線管理区域以上に汚染されてしまった場所で生活している人びとのこと、そこの空気も水も土地も食物もがれきも汚泥も、すべてが放射能汚染物質になってしまった現実を突き付けられて、一瞬言葉を失ってしまいます。
 あらためて、わたしたちは〝原発のないふるさと〟を、こころより希求せざるを得ません。本書はそのフクシマから〝原発のないふるさと〟に立ち返って、土井と小出がともに初期からかかわった鳥取県の青谷原発立地阻止運動を取り上げ、さいわいなことにいま〝原発のないふるさと〟にも、実は原発の立地を阻止するための住民や市民の血の滲む闘いが隠されていたことを明らかにします。現在、日本には54基の原発が立地し稼働していますが、その半面において全国40カ所で原発の立地が阻止されてきたことは、一般にあまり知られていません。
 その1つである鳥取県の青谷原発立地阻止運動は、中国電力の原発計画の青写真を事前にキャッチするや、戦後の婦人会運動の流れを汲むカアちゃんパワーを先頭に、地元の住民や市民のネットワークが立ち上がり、そして、最後には原発の炉心部の土地を共有化するという〝決め手〟によって、原発計画を周到にも水際で未然に葬り去った目覚ましい反原発運動の1成果でした。
 フクシマの深刻な衝撃を受けて、わたしたちは新たな原発の立地を阻止する反原発の課題と、いまある原発もすべて止めて廃炉にする脱原発の課題を、いわば一個二重の課題としていますが、それでも膨大な核廃棄物とその管理責任は残ります。そして、げんに、〝原発のないふるさと〟にも、厄介な核廃棄物の負の遺産があったのです。
 それが日本の原子力開発の起点に位置する岡山・鳥取県境の人形峠における、ウラン開発の副産物である膨大なウラン残土の放置です。これは原子力開発の入口の〝核のゴミ〟に相当しますが、本書は土井と小出がともに取り組んだ人形峠周辺の鳥取県東郷町(現・湯梨浜町)方面(かたも)地区のウラン残土撤去運動の報告を通して、それが旧動燃(現・日本原子力研究開発機構)・国・県・町の何重もの圧力をはね返し、18年もの歳月をかけて住民要求を貫徹した稀有な出来事であったと同時に、いかに核廃棄物のあと始末が困難な課題であるかを事実として示します。
 なぜなら、ウラン残土の撤去先は2転3転どころか、4転5転6転7転8転とめまぐるしい変転を繰り返し、方面地区のウラン残土撤去運動は岡山県と鳥取県のあいだのみならず、鳥取県内の自治体と自治会のあいだでも、〝核のゴミ戦争〟を招き寄せたにとどまりません。ウラン残土の一部がアメリカの先住民の土地に〝鉱害輸出〟される、というとんでもない過痕を残したからです。原発の入口の核廃棄物からしてこうです。ましてや、原発の出口の核廃棄物ときたら、そのあと始末がより困難かつ厄介であることはいうまでもありません。
 こうして、本書はフクシマを経験したわたしたちにとって、〝原発のないふるさと〟の希求が切実な課題であると同時に、フクシマの事故処理にも重大な警鐘を鳴らし、あらためて〝核のゴミ〟のあと始末に注意をうながす内容となっています。 
(土井淑平記)